体が子供から大人に変化する時期は、他人からどう見られているか・どう見られたいかにとても敏感になりますが、成長期に行う無理なダイエットは身長の伸びだけでなく、様々な機能低下に影響します。ここでは、成長期ならではの背を伸ばしつつも健康に痩せる秘訣や、成長期での自己流ダイエットの危険性についてご紹介します。
成長期のダイエットは身長の伸びに影響する?
成長期のダイエットは身長の伸びに影響するのでしょうか?答えはYESで、「食べない」などの自己流ダイエットを続けていると栄養が不足し、伸びるはずだった身長の成長がストップしてしまいます。このようなダイエットは身長の伸びに影響があるだけでなく、肌荒れ、元気が出ない・疲れがとれない、勉強に集中できない、女子は生理がとまってしまうなどの不調が現れます。
無理なダイエットは栄養不足のリスクがある
下記の表は厚生労働省と農林水産省で定められた食事のバランスガイドです。
上の表を参考にした献立の目安がこちらです。
朝食 | ・ご飯を茶碗1〜2杯もしくは食パンを1〜2枚 ・サラダ ・具沢山のお味噌汁やスープ ・納豆や目玉焼き ・牛乳やヨーグルト等の乳製品を1品 ・果物 |
昼食 | ・ご飯を茶碗1〜2杯もしくは食パンを1〜2枚 ・おひたしやソテーなどの副菜2品 ・肉や魚などの主菜1〜2品 ・牛乳やヨーグルト等の乳製品を1品 |
おやつ | ・チーズやヨーグルト等の乳製品を1品 |
夕食 | ・ご飯を茶碗1〜2杯もしくは食パンを1〜2枚 ・おひたしやソテーなどの副菜2品 ・大豆製品や肉、魚などの主菜1〜2品 ・果物 |
これらの食事は健康を維持するために必要な量です。時間がないからと朝食を抜いたり、ダイエットのためにと極端に量の少ない食事を続けていると、身長が伸びない・脂肪が蓄積される・肌がボロボロになる・集中力が低下するなどの症状が現れます。
背が低く痩せにくい人の無理なダイエットは悪循環を生む
背が低い人は背が高い人に比べて基礎代謝量が少なく、背の高い人と同じエネルギーを消費しようとすると運動量を増やす必要があります。成長期はまだ身長の伸びが期待できるので十分な栄養摂取をしたいところですが、食事をとらず菓子パン1つですませてしまうなどの自己流ダイエットを続けると、身長を伸ばすための栄養素は不足するのにも関わらず脂肪の原因となる糖質だけがどんどん蓄積されて体重増加につながるという悪循環を生んでしまうのです。
身長は伸ばしたい成長期のダイエット法は?
身長を伸ばしたい成長期にオススメするダイエット方法をご紹介します。
【はじめに】
ダイエットの前にBMI値を知ろう
- こまめな運動を行う
- バランスの良い食事を適量だけ食べる
- 十分な睡眠をとる
ダイエットの前にBMI値を知ろう
ダイエットにとりかかる前に、自分のBMI値を知りましょう。BMI値は身長に対する体重が痩せているのか・太っているかの指標となる数値です。BMI値が25未満の人は、体重よりも有酸素運動や筋トレなどによるボディメイクを行いましょう。
18.5未満 | 低体重(痩せ型) |
18.5〜25未満 | 普通体重 |
25〜30未満 | 肥満(1度) |
30〜35未満 | 肥満(2度) |
35〜40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
(1)こまめな運動を行う
既に体についている脂肪を落とすにはエネルギーの代謝をあげることが必要です。そのためには運動が一番効果的と言えます。運動は成長ホルモンの分泌にも影響するので、身長も伸びて一石二鳥です。ポイントは月に数度のハードなトレーニングより、短時間でいいので毎日の継続が重要です。代謝における運動の効果が持続するのは72時間と言われているので、最低でも3日に1度、週に3日以上の運動を心がけましょう。
ポイントは脂肪を減らすこと
体重を落とすには、軽いウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動が効果的です。食後1時間以内を目安に行えば糖質がエネルギーとして変換されるので脂肪になるのを回避できます。
「食べない」は身長も伸びず体に悪影響
食べないダイエットは以下のような悪影響を及ぼします。
- 成長が止まる
- 筋力の低下
- 貧血
- 拒食症や過食障害などの摂食障害
- 生理不順や無月経
特に女子は無理なダイエットのせいで将来不妊症となり、今は良くても今後子供を望んだ時にとても後悔することになります。
(2)バランスの良い食事を適量だけ食べる
健康を維持するためには栄養バランスが良く、自分の活動量に合った量を食べることです。お腹がいっぱいになるまで食事をしている人は、腹八分目で抑えるよう心がけましょう。
身長や体型によって代謝量は変わるので、他人と同じ量を目安にしてはいけません。食べる量をコントロールできるようにしていきましょう。
適量で満腹だと感じるには、
・早食いしない
・しっかりと噛む
この2点に気をつけて食事をします。
タンパク質を積極的に食べよう
肉類や魚はタンパク質という栄養素で、タンパク質は骨や皮膚、筋肉、髪の毛の栄養源で成長期に不可欠です。糖質制限という言葉をよく聞きますが、甘いものや炭水化物に含まれる糖質こそが脂肪になる成分で、これらの糖質を控えてタンパク質やビタミン、ミネラルを多く含む野菜を中心に食べる食事方法を指します。
とはいえ、糖質は体と脳のエネルギーですので、完全に遮断してしまうと体の不調が顕著に出ます。運動量が普通の人は一食あたり白ごはん1〜2杯、食パン1〜2枚程度は食べるようにしましょう。
(3)十分な睡眠をとる
背を伸ばすために必要な成長ホルモンは睡眠時が1番多く分泌されます。入眠後、はじめのレム睡眠時をピークに2、3時間おきに分泌されます。
成長ホルモンは、私達が眠っている間に身長を伸ばしたりケガやキズを治したり新しい肌を作ったりと、成長と修復を行なっています。
質の良い睡眠はお肌をキレイにする
成長ホルモンの分泌は深い眠りに入る前後に1番多く分泌され、お肌の代謝であるターンオーバーを促進します。ターンオーバーが行われると内側で新しい皮膚が生成され、古くなった皮膚が外へと押し出され剥がれていきます。日焼けした肌が、月日の経過により元の肌色へ戻る現象を思い浮かべるとわかりやすいです。
ぐっすり眠れると頭も良くなる
睡眠は成長に良いだけでなく頭も良くしてくれます。睡眠は休息するという目的もありますが、情報を遮断して脳の中を整理整頓し記憶を定着させるという目的もあり、昼間に勉強したことを頭に留めておくためにとても大切なことなのです。
成長期の身長が伸びるメカニズムは?
なぜ成長期に身長が伸び、大人になると伸びが止まってしまうのか、メカニズムを解明していきましょう。
男女ともに女性ホルモンが関係
これは意外ですが、身長が伸びるのは女性ホルモンの働きが大きく関わっています。大人になるにつれ男女ともに女性ホルモンの分泌量が増えてくと、身長の伸びをストップさせるよう働きます。女子の方が男子に比べて成長するのが早く、また、平均身長が低いのも女性ホルモンの分泌量が影響しているからです。
骨が硬くなる前にしっかり伸ばそう
平均的に18歳頃まで、遅い人で20歳頃までは骨の端が柔らかく伸びしろがある状態で、次第に硬くなって背の伸びが止まります。厚生労働省の調べによると、男女ともに高校3年生まで身長が伸びているという結果が出ているので、骨が硬くなってしまう前に十分な栄養・睡眠・運動で成長を促していきましょう。
まとめ
成長期はホルモンのバランスも変化するので一時的に体重が増えることは自然のことです。そこで無理なダイエットをしてしまうと成長を阻害してしまうことになります。
暴飲暴食や運動不足などの思い当たる節がある人は適量の食事と適度な運動を心がけ、特に心当たりがないのに太ってきたという人は無理なダイエットをしないように気をつけましょう。