アルギニンはアミノ酸の一種で、成長ホルモンの分泌を高める働きのある成分です。身長を伸ばす効果があるとサプリメントなどに配合される成分ですが、本当に身長を伸ばす効果があるのでしょうか?答えは、アルギニン自体を摂取すればするほど身長が伸びるわけではありませんが、身長を伸ばす為に必要不可欠な栄養成分で、不足すると低身長などの原因になると言われています。
ここでは、
- アルギニンの効果
- なぜアルギニンが背を伸ばすのか
- 安全面や注意点
について深掘りします。
成長に欠かせない栄養成分アルギニンの効果とは?
アルギニンの効果は、
・成長ホルモンの分泌を促進する
・免疫力の向上
・代謝の促進
・疲労の回復
などがあります。
成長ホルモンは、タンパク質の合成や代謝にも影響するためアルギニンは成長期にはかかせない栄養素ですが、日本小児内分泌学会によるとアルギニンを摂っても元々の成長率以上には身長が伸びないことが科学的に証明されたと発表されています。
一方、不足すると低身長の原因になるためサプリメントで補うなどして十分に摂ることも推奨されています。
このことから、アルギニンは摂取すれば成長が伸びるという栄養素でないものの、不足しないよう十分に摂る必要があるということがわかります。
アルギニンとは?
アルギニンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種で、体内で作ることのできる非必須アミノ酸です。体内で作られる量はごく少数で、不足分は食事やサプリメントで補う必要があることから準必須アミノ酸や条件付きアミノ酸と呼ばれています。
身長を伸ばす?
アルギニンが身長を伸ばすと言われているのは、成長ホルモンの作用にあります。
成長ホルモンは糖質やタンパク質、脂肪の代謝を行い筋肉や骨などを作ります。特に成長期は、骨がまだ柔らかく、骨と骨の間に伸びるための隙間があり、成長ホルモンと骨の元となるタンパク質やミネラルなどの栄養素がタッグを組むことで太く強く成長していきます。
18歳前後を境に骨と骨の隙間がなくなり硬くなることで身長の伸びがストップします。アルギニンはこの成長ホルモンの分泌や合成に影響するため、成長期にはとても重要な栄養素と言えるのです。
免疫力アップする?
アルギニンには、一酸化窒素が作られるのを促進して細菌やウイルスなどに抵抗する働きを高め、風邪やガンなどを予防したり改善したりする働きがあります。また、傷の治りを早くしたり、肌の健康を維持したり、血流を改善する効果も期待できます。
疲労を回復させる?
身体的な疲れも脳の疲れも、それぞれに負荷がかかって疲労性物質がたまりエネルギーの代謝が悪くなることで「疲れた」と感じます。アルギニンは、エネルギーの代謝を促進して疲労の回復を早める働きがあります。
アルギニンの摂取目安は?
アルギニンには摂取目安や上限は決められていませんが、1日に2000〜4000mg程度、大きなケガや手術後などの回復な必要な時は5000〜7000mg程度の摂取が目安とされています。
アルギニンは摂り過ぎに注意
アルギニンは摂りすぎたとしても害はないと考えられますが、過剰な摂取は消化器官への負担となり胃炎や下痢などの症状が現れる可能性があり、アレルギー体質の人は特に気をつけるようにしてください。特に小さなお子さんは要注意です。
どんな食べ物に含まれている?
次に、アルギニンを多く含む食品をご紹介します。
豚肉
1日の摂取目安・・・約133g〜266g
【参考】
豚の生姜焼き一人前・・・100〜130g程度
豚肉は体のあらゆる機能をサポートするミネラルやビタミンを豊富に含み、100gの摂取で一日に必要な栄養素が摂れるほどです。豚肉のみでアルギニンを摂ろうとすると他の栄養素の過剰摂取につながりますので少量にとどめるようにしましょう。
鶏肉
1日の摂取目安・・・約133g〜266g
【参考】
親子丼一人前・・・125g〜150g程度
鶏肉は体内で作ることのできない必須アミノ酸がバランスよく含まれており、その他にもビタミンA、ビタミンB、ビタミンKとビタミン類も豊富に含まれています。また、ステアリン酸は善玉コレステロールの生成を促す効果もあります。
大豆
1日の摂取目安・・・約74g〜148g
【参考】
煮豆一人前・・・35g程度
大豆は、タンパク質、ビタミン、ミネラルの含有量が多く、「畑の肉」と呼ばれています。肉類に比べ低カロリーですが、煮豆などの副菜になることがしばしばで、量があまり食べることができないのが難点です。
エビ
1日の摂取目安・・・約100g〜200g
【参考】
エビチリ一人前・・・50g程度
エビは高タンパクな食材で、茹でたエビだと100gあたり約21gも含まれます。その他、抗酸化作用があるビタミンEや骨の材料となるカルシウムも含まれています。
きな粉
1日の摂取目安・・・約71g〜142g
【参考】
きな粉餅一人前(餅1〜2個)・・・15g程度
きな粉は煎った大豆を粉状にしたものですが、大豆に比べて消化が良く、砂糖とまぜてお餅にかけたりホットミルクにまぜたりと使い方に幅があります。アルギニンの含有量は大豆とあまり違いはありません。
アルギニンを食事だけで摂るのは難しい
成人の一般的な食事で、一食にとる肉類の量は40g〜60gほどと言われています。肉以外の量も見ていただくとわかるように、アルギニンに重点を置いて食事をするとエネルギー量が多くなり、体重の増加や肥満の原因となってしまいます。
これらの商品だけでなく野菜や炭水化物もとる必要があるため、アルギニンを食事だけで目安量を無理に摂取しようと思わず、サプリメントや栄養ドリンクなどで補いエネルギー量を抑える工夫をしましょう。
アルギニンは寝る前にとるのが効果的
成長ホルモンは就寝後、最初の深い眠りが最も多く分泌されるため、アルギニン配合のサプリメントや栄養ドリンクは就寝前に飲むと効果的です。
筋トレや運動の前後もオススメ
成長ホルモンは傷づいた筋繊維の修復を行う働きやエネルギーの代謝をよくする働き、疲労回復を早める働きがあるため、筋トレや有酸素運動の前後に摂取することも効果的です。
まとめ
アルギニンは、身長の伸びがピークになる18歳前後に特に重要な栄養素です。食事だけでは十分な量を摂ることが難しく、毎日継続して摂りたい栄養素ですので、サプリメントなどで補う習慣を作りましょう。